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3.ネック部の特徴

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 やっぱり写真があまり上手く撮れてなかったようで申し訳ない。1号器同様のアングル付きヘッドストック。ナット部分での角度が通常のストラトタイプよりも大きくなる仕組みだ。(ヘッドアングルについて詳しくはコチラを)
 しかも緩い角度が望ましい6弦には然程影響が出ず、角度の欲しい3,4弦には効果が得られるという非常に都合の良い構造だ。

 また、通常よりも約1mm厚い4mmナットも前回同様。ブリッジ寄りに1mm出てるので、ナット〜1Fの間隔が狭い事になっている。もちろんオクターブチューニング対策の一環である。
 ナット幅も前回同様41mm。偏見だがベストな幅。

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 ナット部分については、とても細かい事なのだがどうも気になってしまう点がある。多くのギターではサドルからペグポストまで一直線に弦が張られる事はあまり無い。大抵ナット部でいろんな方向に曲がってしまう。もちろん支点になる訳だから曲がるのは当然だが、そういう話しではない。

 どうせ曲がるなら、ちゃんと下に向かって曲がってほしいのだ。下とは、ナットに掛かる圧力がネックに無駄無く伝わるように。例えば3対3のペグ配置だと3,4弦なんかはかなり外側に曲げられるので、ナットに掛かる力は横に逃げてしまうような気がする。

 Curionではその辺を考慮して、弦がなるべく真っ直ぐにポストに向かうように、サドルのピッチとナットのピッチからペグの配置を割り出している。完璧ではないけれど(完璧だと並びがちょっと変になる)普通に売っているギターよりは真っ直ぐでありたい。アーミング時のナットでの引っかかり緩和や、3弦特有の鳴き防止にも貢献出来るのだから。

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 そして今回一番のカスタマイズポイント、スキャロップドフィンガーボード。形状はRUNEオリジナルのデザインで、深い所の位置が1弦側と6弦側で異なっている。
 一般的に知られているリッチータイプ(深さのピークがブリッジ寄り)とイングヴェイタイプ(普通に中央がピーク)のあいのこみたいな形状で、6弦側はブリッジ寄りが深く、1弦側は中央にピークがきている。6弦側は元々フレット近くを押さえる事が殆どなので、この方が無駄に掘り込まなくて済む。1弦側はフレージングによってどこを押さえるか変わるので、均等というか普通?にしてある。
 深さは1mm弱。0.8mmくらいだが、フレットがかなりデカイ為まあ充分だろう。

 そしてそして、サイドポジションマークにもご注目。なにやら黒い縁どりのドットは蓄光素材で、暗闇でボヤ〜っと光るのだよ。明るい所での視認性の為に黒縁があるので、外径は3mmとやや大きめだが、かなり見やすい。暗いステージ上ではとても有り難い機能だ。その名も "Luminlay"

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 左は前回同様の順反り逆反り両対応の2wayアジャストロッド、STEWMACの"HOT ROD"。構造は通常のロッドと同じ太さの棒が2本縦に並んでいて、片方の長さを変える事で順方向にも逆方向にも突っ張れる。調整は細い棒状の物を差し込んで回すスポークナットで行う(画像右)。個人的にドライバーやボックスレンチを使うタイプよりも好き。
 普通のトラスロッドではロッドナットは交換が可能だが、このHOT RODは構造上交換が出来ない。なので、最も変形しにくいスポークタイプをいつも採用している。因みに"Curion"オリジナルではメイプル1ピースネックを採用しているのでこのHOT RODは使えない。

 最後にネックのスペックを。ストラト等の25.5インチスケールより短く、レスポール等の24,75インチよりもPRSの25インチよりも長い25.25インチスケール。ミリだと641ミリくらい。フレットはJescarのFW9685-SS。ジムダンロップで言うところの#6100型で素材はステンレス。硬過ぎてめっちゃ加工しにくいが、その分?反応はいい。フレット数は22。指板Rは10”〜14”のコンパウンドラディアス。いろんな意味でベスト。

サーキット部の特徴

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 ポット〜ジャック間のラインにはギブソン等でお馴染みのシールデッドクロスワイヤーを使用。1号器からの画像で失礼。
 1芯2本での配線よりノイズ削減に効果絶大。結構ここで拾ってるのだ。ジャックはもちろんSwitch Craft

 今回はピックガード裏側を全面シールド。果たしてその必要性は?と聞かれると少々悩むが、このアルミシートはそこそこ厚みがあるので、性能的には優れているような気がする。あくまで気がする。
 ポットはCTSのノーマルタイプ。1号器ではVOLノブに右手が当たって音量が下がってしまうのを避ける為、VOLポットの位置を少し離しているが、今回はまんまストラトなので、回転しにくいノーマルタイプで対応。
 ハイパスの値はコンデンサー560pと固定抵抗330kのコンビネーション。TONEはビタQの0.022MF。

 あ、VOLポットの1番端子、まだやってませんね。

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 このパーロイドのピックガード、ストラトとの互換性はない。スケールが違うので、ネックのジョイント位置も変わるし、カッタウエイの深さも変えてある。当然P.Uの位置も違うので、ワンオフで作るのだ。

 こういう、違うんだけど同じに見える(違和感が無い)物って作るのは割と大変。下手にラインを変えると途端に格好悪くなったりする。
 今回はまるまるストラトだったからそれが全体に及んでいる訳で、そういった意味ではこの"Curion"ストラトは”Curion"オリジナルよりも手が掛かる。

 ちょっと外れるが、だからこそオーダーなのであって、手を掛けずにじゃんじゃん作れるのは工場製品。どちらにもそれぞれメリット、デメリットがあり、手工の方が優れている等と言う気は毛頭無い。ただ、売ってないから作るのであって、作る以上はコストに見合うポテンシャルを持たせるのが作り手の義務だと思う。

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 さてさて、いかがだったでしょう。最後にカッコいい画像が欲しかったけど撮り損なってしまった。

 仕上がりとしては、出音はほぼ予想通りだったので一安心。レスポンスについては、低音ミュート時の粒立ちに想像以上のものがあったので、この点は自分でもビックリ。ちょっと上手くなった気分になれる(?)

 もちろん各部それぞれの仕様は、アッシュとメイプルのコンビネーションにしろ、スキャロップにしろ過去に手掛けた事があるものばかりだが、今回はその集大成的な1本だったので言ってみれば未体験の領域。実に、学ぶ所の多い作品でした。

 僕は製作の要ってネックとボディーのジョイント等、設計部分が最重要ポイントだと信じております。また、ハードウェアなど個々のスペックは、バランスを考え精査して積み上げていかなければただの見かけ倒しになってしまいます。無駄に多くのブランドをぶら下げるのではなく、本当にその機能が必要だから採用するのであれば、それは必ず良い結果となって現れます。僕にとってこのギタ−はその証しとなりました。

 最後にオーダーをくれた古き友人に改めて感謝します。ありがとうございました。

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